今回のコラムは
1、赤ちゃんには絵本は必要か この時期の実体験の重要性
2、質問コーナー 子どもが読み聞かせの最中に質問するときは中断して答えるべきでしょうか?
3、本日のお勧め絵本 5,6歳向け
1、赤ちゃんに絵本を読んであげることは母と子のスキンシップとしてもとても素晴らしいことだとは思いますが、どうぞ本を与えるのを急がないでくださいね
とのっけから え? と思うことを書きますが
「本当に価値ある本を子どもが楽しめるのは2才半くらいからです。
あかちゃん絵本にあまり走らないようにしていただきたいですね。赤ちゃんのときは、あかちゃんの感性を養うことが大切ですから、うんと外に出て、大地の中で感性を育んでほしいですね。
本はあくまでも二次体験で実体験があればこそ子どもは共感するところから、本に入るのですから。」
こ れは家庭文庫を運営され、図書館勤務としても長いご経験のあるICBA国際児童文庫協会のAさんより大分前に頂いた助言でありますが、今文庫で主催してい る岩崎智恵先生もつい先日の芸術体験実践編で子どもの実体験の大切さを説いてらっしゃいました。 私も本当にそれは今になってよくわかるというか痛切に感 じています。
それから「かがくのとも」や知識図鑑などの知識を与えることに重点を置いただけの絵本はもっと後になってからでいいと思います。 うちは少なくともキンディーにあがるまでは与えていませんでした。 今でもほとんど読んでいないかも、、です。
小 さいうちはたとえばありや蚕(ただ今20匹飼っています、、!)など子どもが観察しているときはお母さんも一緒になって感じてあげる、共感することが大切 な気がします。 ありについての知識を本で見る、確かめるなどはもうちょっと大きくなってからでよく、小さいうちは生き物の不思議、生命の神秘さを感じ、 それこそ子どもの12感覚を養うことに重点を置かれるほうが健全な子どもの発達を助けると思います。
かといって、最初に子どもに与える絵本は厳選したものを、と思いますし、美しいものを見て育って欲しいですから以下のものをお勧めします。
まずは ちいさなうさこちゃんシリーズです。
但し、各冊についている1,2,3という数字は読む順序としては不適当でむしろ第2集(ちいさなさかな、さーかす、ふしぎなたまご)から読み始めてくださいね。第2集にはいっている「ちいさなことり」は複雑なので省きます。
読む順序別に写真を載せます。
作・絵:ディック・ブルーナ
訳:石井 桃子
出版社:福音館書店
うさこちゃんシリーズはこのほかに2歳~比較的難しい3歳~4歳~もありますから年齢にあったものをお選び下さい。
上記は最初の絵本にふさわしいものです。
なぜ優れているかはかなり詳しい説明になりますので興味のある方は季刊紙「子どもと本 第一号」をお読み下さい。 ジャカランダ文庫にあります。
他には (絵本コラム1でお勧めした本と一部重なりますが、これは2歳から大人まで楽しめる本です)
作・絵: マリー・ホール・エッツ
訳: まさき るりこ
出版社: 福音館書店
作・絵: マリー・ホール・エッツ
訳: 与田 凖一
出版社: 福音館書店
作: マーガレット・ワイズ・ブラウン
絵: ジャン・シャロー
訳: 石井 桃子
出版社: 福音館書店
作: (ウクライナ民話)
絵: エウゲーニー・M・ラチョフ
訳: 内田 莉莎子
出版社: 福音館書店
作・絵: パット・ハッチンス
訳: 石井 桃子
出版社: 福音館書店
作: A・トルストイ
絵: 佐藤 忠良
訳: 内田 莉莎子
出版社: 福音館書店
作・絵: ジョン・バーニンガム
訳: 光吉 夏弥
出版社: ほるぷ出版
作・絵: フィービとセルビ・ウォージントン
訳: 石井 桃子
出版社: 福音館書店
作: ミラ・ギンズバーグ
絵: ホセ/エーリアン・アルエーゴ
訳: さとうとしお
出版社: アリス館
作: ジョン・ラングスタッフ
絵: フョードル・ロジャンコフスキー
訳: さくま ゆみこ
出版社: 光村教育図
作・絵: マーシャ・ブラウン
訳: 内田 莉莎子
出版社: 偕成社
作・絵: ピーター・スピア
訳: 渡辺 茂男
出版社: 童話館出版
全てジャカランダ文庫にあります。
2、Q 本を読んでいるときに最近よくうちの子が「これは?」とかいろんなちょっかいを出すのですが、そういう時いちいち答えたほうがいいのか、それともとりあえず読んでからの方がいいのでしょうか? ー3歳児母より
A そうですね・・・ご自分のお子さんとの1対1の場合ですから、お子さんが聞きたいことにはなるべく答えてあげるのが良いのではと思います。
おかあさんが本を読んであげたくても、実はお子さんはもしかしたら、そのときは本のお話よりお母さんとお話したいのかもしれません。
お子さんが集中して聞けない場合あえて本を読むのは後にして、お子さんの満足するようにしてあげるほうがよいと思います。
本を読んでもらいたいとか、お話の中に入っているときは、多分あまり質問はしないかもしれません。
必ずしも、すべてに答える必要はないかもしれませんが、
決して、お母さんがせっかく本を読んであげてるのに、『何でちゃんと聞いてないの?」なんてお子さんをしかりませんように。
昼間十分に体を動かしていると、なかなか本に集中するのは難しいかもしれませんね。
お昼寝の前や夜寝る前には本を聞きたがるのが自然で、そういうときは、子どもにもお話を聞く体制が内面にできてるんでしょうね。
子どもの『聞きたい』時にお話を一緒に楽しむことができたら幸せなことと思います。 (同じく国際児童文庫協会Aさんよりお答えいただきました)
それ以外に思いつくことでは、私の経験では子どもが小さい頃は、うちのリビング(おもちゃもありますし、庭に通じています)で読み聞かせをしていた時は、こ どもは他のものに目が行ったりしてどうも落ち着きませんでした。 寝室で読み聞かせをしたところ、非常にゆったりとよい時間をもてることに気がつき、以降 読み聞かせはほとんど寝室になりました。 レインボー文庫でも会場が広いため障子のようなものでわざと読み聞かせの時は囲いをして他のものに気をとられな いように気を配っています。
3、お勧めの本 5、6歳~
編集・翻訳:神谷 丹路
文・絵 : チョン スンガク
出版社: 福音館書店
15の短編集が入っています。
この本はうちの娘が今一番はまっている、愉快なトッケビのお話がたくさん入った韓国の昔話の本で、年齢的には大体5、6歳くらいからだんだん楽しめるような内容となっています。
個人的には表題作の「だまされたトッケビ」に夢中になりました。でもどれも面白いです。 人間にお金を借りたトッケビが
「明日の晩、返すから」という約束を守って、毎晩お金を返しにくる憎めないちょっと間抜けなトッケビのお話です。絵も素晴らしいと思います。
トッ ケビとは聞きなれないですが、韓国では日本の鬼みたいなものかな、と想像して読んでいました。こういう民衆のこころの中から生まれた不思議な生きもの(存 在)は世界中どこの風土でも存在するのではないかと思います。 長い間人から人へ語り継がれたこういう質のいいお話をたっぷり聞いて子どもたちは豊かな想 像力をどんどん膨らませて育っていって欲しいなあと思います。
竹森あゆみ